独特の香りとシャキシャキした食感が魅力のセロリですが、「セロリ栽培は難しい」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。確かに、発芽に時間がかかったり、適切な温度管理やこまめな手入れが必要だったりと、他の一般的な家庭菜園の野菜に比べて少し手間がかかる側面はあります。
しかし、それはセロリ特有の性質を知らないからかもしれません。正しい育て方のポイント、特に初期の育苗段階でのコツさえ押さえれば、家庭菜園のプランターでも十分に美味しく、立派なセロリを収穫できます。
この記事では、春の種まき時期から始まる基本的な育て方はもちろん、収穫量を格段に増やすためのわき芽かきや、お店で売っているような白くて柔らかいセロリを作る遮光のコツ、さらにはプロの農家も実践する専門的なテクニックまで、初心者の方がつまずきやすいポイントを一つひとつ丁寧に解説します。
また、収穫後の株元を利用した植えっぱなしでの管理方法や冬越しの注意点、キッチンで手軽に始められる再生栽培や土を使わない水耕栽培といった、さらに一歩進んだ応用的な楽しみ方もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧いただき、セロリ栽培への挑戦を成功させてください。
セロリ栽培が難しい理由と基本の育て方

- 基本的なセロリの育て方の流れ
- 最適な種まき時期は春がおすすめ
- プランター栽培で手軽に始める
- 収量を増やすわき芽かきのコツ
- 柔らかくする遮光のひと手間
- 農家が教える栽培成功の秘訣
基本的なセロリの育て方の流れ

セロリ栽培を成功させるためには、まず種まきから収穫までの一連の流れと、それぞれの段階で必要な作業を把握することが何よりも大切です。
セロリは他の夏野菜などと比べて育苗期間が約2〜3ヶ月と非常に長く、収穫までには約半年を要します。しかし、この時間をかけてじっくり育てるからこそ、収穫の喜びもひとしおです。
以下の手順を一つずつ丁寧に行えば、初心者でも本格的なセロリ栽培を楽しむことができます。
大まかな栽培スケジュールは以下の通りです。お住まいの地域の気候や栽培環境によって時期は変動しますので、あくまで目安として参考にしてください。
時期(関東以西の暖地目安) | 作業内容 | ポイントと詳細 |
---|---|---|
4月~5月 | 種まき・育苗 | 発芽適温(15~20℃)を維持し、乾燥は厳禁です。この期間が栽培全体の成否を分けます。 |
7月~8月 | 植え付け | 本葉が7~9枚に成長した頑丈な苗を、畑やプランターに丁寧に植え付けます。根を傷つけないよう注意が必要です。 |
8月~11月 | 栽培管理 | 肥料切れと水切れを絶対に起こさないよう、追肥や水やりを定期的に行います。わき芽かきも重要な作業です。 |
10月~12月 | 収穫 | 草丈が30~40cmに達したら収穫の合図です。株ごと収穫するほか、外側の茎から順次かき取って長く楽しむことも可能です。 |
特にセロリ栽培において、「育苗半作(いくびょうはんさく)」という言葉が当てはまります。これは、苗の出来がその後の作柄の半分を決めるという意味で、初期の育苗がいかに重要かを示しています。
この時期に根をしっかり張らせ、病気に強い健康な苗を育てることが、大きな株を収穫するための最大の秘訣です。
最適な種まき時期は春がおすすめ

セロリの種まきは、気候が穏やかになる春(4月~5月)に行うのが最も一般的であり、失敗が少ないため初心者にも強くおすすめします。
その最大の理由は、セロリの発芽に適した温度が15℃~20℃と、比較的冷涼な気候を好むからです。気温が25℃を超える夏日になると発芽率が落ち、逆に低すぎると発芽までに非常に時間がかかったり、全く発芽しないこともあります。
また、セロリの種は「好光性種子(こうこうせいしゅし)」という性質を持っています。これは、発芽するために光を必要とする種子のことで、タキイ種苗株式会社でも解説されているように、多くのセリ科植物に見られる特徴です。
そのため、種をまいた後に土を厚く被せすぎると、光が種まで届かずに発芽できません。土をかける際は、種が隠れるか隠れないか程度のごく薄い覆土を心がけましょう。
種まき成功のポイント:吸水処理
セロリの種は皮が硬く、そのままでは水を吸いにくいため発芽しにくい性質があります。そこで、発芽率を格段に上げるための簡単な一工夫が「吸水処理」です。
種をまく前に、ガーゼなどに包んで一昼夜(12~24時間)水に浸けておくことで、種が十分に水分を吸収し、スムーズに発芽の準備を始めることができます。このひと手間が、栽培のスタートを大きく左右します。
育苗箱やセルトレイに種をまいた後は、発芽まで絶対に土の表面を乾かさないことが重要です。霧吹きで優しく水を与え、濡れた新聞紙や不織布をかけて保湿管理を徹底しましょう。無事に発芽し、本葉が7~9枚になるまで、約2~3ヶ月という長い期間をかけて、焦らずじっくりと丈夫な苗に育てていきます。
プランター栽培で手軽に始める

「うちには畑がないから無理…」と諦める必要は全くありません。セロリはプランターを使えば、ベランダや玄関先などの限られた省スペースでも十分に育てることが可能です。自分で育てた採れたてのセロリは、香りも食感も格別ですよ。
準備するもの
- プランター:セロリは根を深く張るため、標準サイズ(幅60cm程度)で深さが30cm以上ある深型のものを選びましょう。浅いプランターでは根が十分に育てず、良い株になりません。このサイズで2~3株の栽培が目安です。
- 用土:初心者の方は、あらかじめ肥料が配合されている市販の野菜用培養土を使うのが最も手軽で確実です。自分で配合する場合は、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜ、緩効性肥料を少量加えると良いでしょう。
- 鉢底石と鉢底網:プランターの底に敷き、水はけを良くして根腐れを防ぐために必須のアイテムです。
植え付けの手順
約2~3ヶ月かけて育てた、本葉が7~9枚のしっかりとした苗をプランターに植え付けます。セロリは主根がまっすぐ伸びる「直根性(ちょっこんせい)」の野菜で、植え替えの際に根、特に主根を傷つけられるのを非常に嫌います。
ポットから苗を取り出す際は、絶対に根鉢を崩さないように、そっと優しく扱ってください。
植え付けの際は、株元に土が深く被さらないように、ポットの土の高さとプランターの土の高さを合わせるか、少し高めにする「浅植え」が基本です。
植え付けが終わったら、プランターの底から水が勢いよく流れ出るまで、たっぷりと水を与えて土と根をしっかりと密着させ、活着を促します。
プランター栽培での水やり管理
プランター栽培は、地植えと比べて土の量が限られているため、非常に乾燥しやすい環境です。そのため、水やり管理が栽培成功の最も重要な鍵となります。
特に気温が高くなる夏場は、朝夕の2回水やりが必要になることもあります。「土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与える」という基本を徹底してください。
ただし、常に土がジメジメと湿っている状態は根腐れの原因になるため、水のやりすぎにも注意が必要です。土の状態を毎日観察する習慣をつけましょう。
収量を増やすわき芽かきのコツ

セロリの株が順調に大きく成長してくると、主となる茎の脇、葉の付け根あたりから「わき芽」と呼ばれる新しい芽が次々と出てきます。
このわき芽をそのまま放置してしまうと、そちらにも栄養が分散してしまい、主となる茎が太くならず、全体的にひょろひょろとした頼りない株になってしまいます。そこで重要になるのが「わき芽かき」という、収量を左右する大切な作業です。
植え付けから1ヶ月ほど経ち、株の生育が旺盛になってきた頃が、わき芽かきを開始するタイミングです。株元をよく観察し、主茎の脇から出ている小さな芽を見つけたら、指で優しくつまんで根元からかき取ってください。
ハサミを使うと切り口から病気が入る可能性があるため、手で作業するのがおすすめです。同時に、黄色く枯れてきた下葉や、混み合っている葉も取り除くことで、株全体の風通しが格段に良くなり、多湿を原因とする病気の予防にも絶大な効果があります。
わき芽かきは、株を大きく、そして太く育てるために絶対に欠かせない作業です。少し面倒に感じるかもしれませんが、こまめに行うことで栄養を主茎に集中させ、一本一本が太く、シャキシャキと食べ応えのある高品質なセロリに育てることができますよ。
取り除いたわき芽や若い葉は、独特の強い香りがあるので、捨てずにスープの香りづけや刻んで薬味として活用しましょう!
作業のタイミングと注意点
わき芽かきや下葉かきを行った後の切り口は、人間でいうところの傷口と同じ状態です。そこから病原菌が侵入しやすくなるため、作業は空気が乾燥している、よく晴れた日の午前中に行うのがベストです。
また、作業直後の水やりは切り口が濡れてしまい、病気のリスクを高めるため避けましょう。切り口を素早く乾燥させることが、株を健康に保つ重要なポイントです。
柔らかくする遮光のひと手間

私たちが普段スーパーマーケットなどで目にするセロリの茎は、根元の方が白くて柔らかく、独特のえぐみが少ないのが特徴です。
これは「軟白(なんぱく)栽培」という、ひと手間加えた特別な手法で作られています。実はこのプロの技、家庭菜園でも簡単な工夫で再現することが可能です。
その魔法のような方法が「遮光」です。植物が緑色なのは、光合成を行うための葉緑素(クロロフィル)があるからですが、光を遮断することでこの葉緑素の生成を抑制します。
その結果、茎が白くなり、繊維質が硬くなるのを防いで柔らかく育てることができるのです。これは長ネギの白い部分を作るのと同じ原理です。
遮光の具体的な方法
特別な道具は一切必要ありません。収穫を予定している日の2~3週間前になったら、セロリの株元、つまり食べたい茎の部分に光が当たらないように資材で覆います。
厚手の紙や段ボール、牛乳パックを開いたもの、あるいは農業用の黒いポリフィルムなどを株の周囲に円筒状に巻き付け、紐や洗濯バサミ、クリップなどで固定するだけでOKです。
この時、葉の部分にはしっかりと光が当たり、光合成が続けられるように、茎の部分だけを覆うのが重要なポイントです。
軟白栽培のメリットとデメリット
軟白栽培の最大のメリットは、セロリ特有の強い香りがマイルドになり、食感も柔らかくなることです。これにより、えぐみが減って食べやすくなるため、生で食べるサラダやスティックセロリに最適です。
一方、遮光せずに太陽の光をたっぷり浴びて育った緑色のセロリは、香りが強く野性的ですが、その分ビタミンなどの栄養価は高いとされています。どちらが良いというわけではなく、お好みの味や用途に合わせて栽培方法を選んでみてください。
農家が教える栽培成功の秘訣

ここでは、多くのセロリを安定して高品質に育てているプロの農家も実践している、栽培成功のための秘訣を3つご紹介します。
これらの科学的根拠に基づいたポイントを押さえることで、あなたの家庭菜園のレベルを一段階、確実に引き上げることができます。
1. 肥料切れは絶対に避ける
セロリは数ある野菜の中でも、特に多くの栄養(肥料)を必要とする代表的な「多肥性植物」です。生育期間を通じて肥料が不足すると、茎が十分に太くならず細くなったり、ひどい場合には茎の中に空洞ができてスカスカになる「す入り」という生理障害の原因になったりします。
これを防ぐため、植え付け時に土に混ぜ込む元肥はもちろんのこと、生育が旺盛になる植え付け2週間後から、2~3週間に1回のペースで追肥を必ず行いましょう。株元にパラパラとまく固形肥料のほか、即効性のある液体肥料を水やり代わりに与えるのも非常に効果的です。
2. 水分管理を徹底し乾燥を防ぐ
セロリの原産地は湿潤なヨーロッパの冷涼地であり、その名残で乾燥に非常に弱い性質を持っています。土が一度でもカラカラに乾いてしまうと、生育が著しく悪化し、株が回復するのに大きなダメージを負います。
特にプランター栽培や、雨が降らない日が続く真夏は、水切れさせないよう最大限の注意が必要です。
株元に敷き藁や腐葉土、ウッドチップなどでマルチング(土の表面を覆うこと)を施すと、水分の蒸発を防いで土の乾燥を効果的に防ぐだけでなく、夏の強い日差しによる地温の急上昇を抑え、根を守る効果も期待できます。
3. 最適な土壌酸度(pH)に調整する
セロリはpH6.0~6.5という弱酸性の土壌を最も好みます。しかし、日本の土壌は雨が多いため、何もしないと酸性に傾きがち(pH5.5以下)です。
酸性土壌では、せっかく与えた肥料の成分がうまく吸収されず、生育不良の原因となります。JA全農も土づくりの基本として土壌pHの重要性を解説しており、これはプロの農業における常識です。
家庭菜園でも、植え付けの2週間前までに「苦土石灰(くどせっかい)」や有機石灰を畑やプランターの土に混ぜ込み、土壌の酸度をセロリが好む適切な範囲に調整しておくことが、健全な生育のための非常に重要な下準備となります。
セロリ栽培は難しくない!応用とコツ

- キッチンで始める手軽な再生栽培
- 土を使わない水耕栽培という選択肢
- 植えっぱなしで育てる際の注意点
- セロリの冬越しを成功させるには
- ポイントを押さえればセロリ栽培は難しくない
キッチンで始める手軽な再生栽培

普段、料理で使ったセロリの根元部分(株元)を、生ゴミとして捨ててしまっていませんか?実はその部分を使えば、土もプランターも使わずに、キッチンで手軽にセロリを再生させて新鮮な葉を収穫することができます。
これは「リボベジ(リボーン・ベジタブルの略)」とも呼ばれ、食費の節約になるだけでなく、植物が育つ様子を間近で観察できるため、お子様の食育にもつながる素晴らしい方法です。
再生栽培の簡単なやり方
- スーパーで購入したセロリの株元を、捨てずに高さ3~5cmほど残して包丁で水平に切り取ります。
- お皿や食品トレー、タッパーなどの浅い容器に、切り口が水に浸らないように注意しながら1~2cmの深さで水を張ります。
- セロリの株元を容器の中央に入れ、日当たりの良いキッチンの窓辺などに置きます。
- 水が腐らないように毎日新鮮な水に交換し、容器も清潔に保ちます。これが成功の最大のコツです。
順調にいけば、数日後には中心部分から鮮やかな黄緑色の新しい葉がにょきにょきと伸びてきます。
再生栽培で収穫できるのは主に香り高い葉の部分ですが、スープやパスタの香りづけ、お弁当の彩り、刻んで薬味として使うなど、様々な料理に十分に活用できます。ある程度葉が育ったら、プランターの土に植え替えることで、さらに大きく育てることも可能です。
土を使わない水耕栽培という選択肢

「家庭菜園に興味はあるけれど、土づくりが大変そう…」「虫が苦手で土を触りたくない…」という方には、土を一切使わずに水と液体肥料だけで植物を育てる水耕栽培が画期的な選択肢となります。
非常に衛生的で管理がしやすく、室内でコンパクトに育てられるため、アパートやマンションにお住まいの方にも大きなメリットがあります。
基本的な方法は、ペットボトルを加工したものや、市販の専用栽培キットを使い、植物の根を液体肥料を溶かした水(培養液)に浸して育てるというものです。
まず、水を含ませたスポンジに種をまいて発芽させ、根がある程度伸びてきたら、容器にセットして栽培を開始します。
水耕栽培成功のポイント
水耕栽培で最も重要なのは、根に十分な酸素を供給することです。根も呼吸しているため、水中に酸素が不足すると根腐れを起こして枯れてしまいます。
エアポンプで培養液に空気を送り込む方法が理想的ですが、簡易的な容器で行う場合は、時々容器を優しく揺すって水中に酸素を送り込んだり、根の一部が空気に触れるように水位を低めに調整したりする工夫が必要になります。
土を使わないため、土の中に潜む病原菌による病気の心配がほとんどなく、セリ科植物で問題になりやすい連作障害も気にする必要がありません。セロリ栽培の新しい、そしてクリーンな楽しみ方として、挑戦してみてはいかがでしょうか。
植えっぱなしで育てる際の注意点

「一度植えたら、あとは手間いらずで植えっぱなしにして、毎年収穫できたら楽なのに…」と考える方もいるかもしれません。
セロリは本来、二年草または多年草の性質を持っているため、温暖な地域であれば理論上は冬を越して翌年も生育することが可能です。
しかし、家庭菜園で美味しく高品質なセロリを毎年収穫し続けるという観点からは、植えっぱなしにはいくつかの看過できないデメリットと注意点が存在します。
植えっぱなし栽培の主なリスク
- 連作障害:同じ場所で同じ科の植物を連続して栽培すると、土壌中の特定の栄養素だけが過剰に消費され、その植物を侵す特定の病原菌や害虫が増えやすくなります。その結果、極端に生育が悪くなるのが「連作障害」です。セロリはセリ科なので、ニンジン、パセリ、ミツバなどとの連作は避けるべきです。
- 深刻な肥料不足:前述の通り、セロリは大変な大食漢(多肥性植物)です。植えっぱなしでは1年で土の中の栄養分をほとんど使い果たしてしまい、2年目以降は深刻な肥料不足で大きく育てることが困難になります。
- とう立ち(抽苔):植物が子孫を残すために花芽のついた茎(花茎)を伸ばすことを「とう立ち」または「抽苔(ちゅうだい)」と呼びます。
セロリは冬の寒さを経験すると、春に気温が上昇した際に「子孫を残さなければ」と判断し、とう立ちしやすくなります。とう立ちすると、栄養がすべて花と種に使われるため、食べる部分である茎が硬く、筋っぽくなり、食味が著しく落ちてしまいます。
これらの専門的な理由から、毎年美味しく立派なセロリを安定して収穫するためには、面倒でも植えっぱなしにせず、毎年新しい清潔な土で、新しい苗から育て直すのが最も確実で、結果的に失敗の少ないおすすめの方法と言えます。
セロリの冬越しを成功させるには

セロリは比較的寒さに強い野菜で、0℃近くまで耐えることができますが、霜や土の凍結には弱いため、関東以西の暖地以外で冬越しをさせて翌年も収穫を楽しむには、しっかりとした防寒対策が必要です。
二年草・多年草としての性質を活かして冬越しに挑戦する場合は、以下のポイントを押さえて、大切な株を厳しい冬の寒さから守ってあげましょう。
具体的な冬越しの方法
- マルチングによる保温:最も基本的で効果的な方法です。株元に、腐葉土や敷き藁、落ち葉などを通常よりも厚く10cmほどの高さまで敷き詰める(マルチング)ことで、地面からの冷気をシャットアウトし、土が凍結するのを防ぎ、根を寒さから保護します。
- 不織布などによる防寒:寒さが特に厳しい地域や、冷たい風が吹き付ける場所では、株全体を「不織布(ふしょくふ)」や「寒冷紗(かんれいしゃ)」といった園芸用資材でトンネル状に覆う対策が有効です。これにより、直接霜が降りるのを防ぎ、数度の保温効果が期待できます。
- プランター栽培の場合:プランターで育てている場合は、管理が非常に楽です。寒波が来る予報が出たら、プランターごと凍結の心配がない軒下や玄関、あるいは日当たりの良い室内に移動させるのが最も簡単で確実な方法です。
これらの対策を講じて無事に冬越しできた株は、春の訪れとともに再び新しい葉を展開し始めます。ただし、前述の通り、一度冬を経験した株は春にとう立ちしやすくなるため、花茎が伸びてくる前に、早めに収穫を楽しむのが良いでしょう。
ポイントを押さえればセロリ栽培は難しくない

この記事では、セロリ栽培が難しいと感じられる根本的な理由から、初心者の方がつまずかずに栽培を成功させるための具体的な育て方、さらには収穫後の株を活用した応用的な楽しみ方まで、幅広くそして深く解説しました。
最後に、セロリ栽培を成功に導くための最も重要なポイントを、おさらいとしてまとめます。
- セロリ栽培は育苗期間が長く、適切な管理が必要なため難しいと感じやすい
- 基本的な育て方の流れは種まき、育苗、植え付け、栽培管理、収穫の順
- 種まき時期は発芽適温15~20℃になる春が最適
- 種は発芽しにくいため、一晩水に浸けてからまくと良い
- プランターは根がしっかり張れる深型を選び、野菜用培養土を使うと手軽
- 植え付けは根を傷つけないよう根鉢を崩さず、浅植えにするのが基本
- 収量を増やすには、栄養の分散を防ぐためのわき芽かきが不可欠
- お店のような白いセロリは、収穫前に遮光して作る軟白栽培によるもの
- プロ農家は肥料切れと水切れを防ぎ、土壌の酸度調整を徹底している
- 料理で使った株元から葉を育てる再生栽培も気軽に楽しめる
- 土を使わない水耕栽培は衛生的で室内栽培にも向いている
- 植えっぱなしは連作障害や肥料切れ、とう立ちのリスクがあるため推奨されない
- 冬越しにはマルチングや不織布による防寒対策が必要
- 正しい知識と少しの工夫、そして愛情をかければセロリ栽培は決して難しくない
- 自分で一から育てた新鮮なセロリの香り高さと味は格別